貧血にはいくつかありますが、体の鉄分不足によって起こる鉄欠乏性貧血と言われる貧血を抱える人が多くいます。
鉄欠乏性貧血になると、口の中や目の粘膜が白っぽくなる症状が現れ、生理や妊娠、授乳によって鉄分が不足した女性に多くみられます。
鉄欠乏性の貧血の症状を改善するためには一般的に鉄剤を内服しますが、様々な薬に制限のある妊婦さんは鉄剤を飲んでも大丈夫なのでしょうか?
日本人の成人女性のうち約17%は貧血であるというデータがあります。
自分が貧血であると自覚している人は意外と少ないのですが、貧血になると、血液を少しでも多く体中に送ろうとしてしまい、心臓や肺負担がかかるようになります。
そのため疲れやすくなったり、動悸や息切れを感じたりしてしまうのです。
妊娠するとなぜ貧血になる?
普段は貧血の症状がなくても、妊娠すると貧血に悩まされる女性が増えます。
妊婦の約30~40%は鉄欠乏性貧血になると言われているほどです。
妊娠すると赤ちゃんを育てるために体内の血液量は増えるのですが、赤血球はさほど増えないので、血液を薄めて量を増やしているような状態です。
お腹の中の赤ちゃんが成長するために鉄分が奪われていくため、妊婦さんは鉄欠乏性貧血になりやすいのです。
貧血が続くと赤ちゃんの成長の妨げにもなってしまいますので、妊娠中に貧血になった場合は早めに対処するよう心がけましょう。
妊婦さんが鉄剤を飲むときには?
妊娠中に貧血になると病院でフェロミアという鉄剤を処方されます。
鉄剤を補給するためには優れている薬で、病院で処方されるものなので妊婦さんが飲んでも大丈夫なのですが、副作用が起こる場合もあります。
鉄剤を服用する人のうち、約10%に吐き気やむかつきなどの副作用が起こります。
鉄剤に含まれる鉄分が胃腸の粘膜を刺激してしまうのでこのような症状が現れますが、多くの場合、胃薬も処方されるので一緒に服用しておくと良いでしょう。
他にも腹痛を起こしたり食欲が低下したりすることもありますが、飲み続けていれば症状が治まってくることもあります。
ひどい嘔吐や蕁麻疹などの発疹が出た場合は注意が必要なので、医師に相談しましょう。
鉄剤以外での貧血改善
鉄剤を飲むと気分が悪くなってしまう場合は、食事で鉄分を補っていくのも効果的です。
鉄分はレバーやしじみ、牛肉の赤身、いわし、かき、卵、ほうれん草、ひじき、わかめなどに多く含まれますが、妊婦さんはレバーを過剰摂取しないように気をつけなければいけません。
レバーには脂溶性ビタミンが多く含まれていて、過剰に摂取すると体内に蓄積され、妊娠中に摂取しすぎるとお腹の赤ちゃんが奇形につながる可能性があると言われています。
料理をするときに鉄鍋を使うと、鉄鍋から出る鉄分を食事と一緒に吸収することが出来ます。
たかが貧血と侮らずに、貧血かもと思ったときには適切な処置をしておくことが赤ちゃんの健康のためにも非常に重要です。